孤独・孤立
マザーテレサは、孤独は人間にとって、最も辛く、苦しいことだと言っています。
実際に、現代に生きる日本人は、この「孤独」にひどく苦しめられているように思います。
「孤独」なのは、物理的に一人ぼっちだからではありません。
心が触れ合っていないからです。
戦後、日本は物質的な豊かさをがむしゃらに追い求めてきました。その甲斐あって、日本経済は「高度経済成長」と呼ばれる大きな成長を遂げ、アジア屈指の経済大国となりました。
しかし、物質的な豊かさと引き換えに、日本人は多くの精神性を失いました。
そして現在、究極の個人主義社会となった日本は、孤独な人々で溢れかえっています。
高度成長期、日本の大人たちは仕事に邁進し、日本の経済発展に存分に力を注いでくれました。しかしその分、家庭で過ごす時間・子どもと向き合う時間は減っていきました。
その結果、多くの子どもたちが、一番自分を見てほしい幼少期に、十分な愛情を受け取ることができず、愛情不足に苦しむことになりました。不足した愛情を、自分で補おうとし、自分ばかりを見るようになってしまった子どもたちは、他者に愛情を向ける余裕をなくし、人を愛することができなくなっていきました。そもそも、他者から理解された経験・心が触れ合った経験がないので、愛し方がわからないのです。
しかし、そんな彼らも、やがて家庭を持つようになりました。「家庭を持てば一人前」の日本社会では、形だけでも「家族」を作ることが重要だったのです。そうして、心の触れ合いを知らない「子どもたち」が、大人になりきれないまま、子どもを生み、育てることになりました。そして当然、そんな家庭で育った子どもたちも同様に、愛情不足に苦しめられることになったのです。こうして、「愛情の飢え」は連鎖し、「孤独」に苦しむ人々はますます増えていきました。
また、日本は、建前文化の社会でもあります。差別や偏見により、社会から追放されることを恐れ、本音を言わず、建前で付き合う、形だけの「友達」が多くいます。うわべだけの「友達」しかいないということは、いざという時に「助けて」と言える人がいないということです。そんな社会で、多くの人に囲まれながらも、心が触れ合わず、孤独に苦しんでいる方が大勢おられます。
そして、個人主義社会は、あまりにも自由です。自由過ぎるが故に、多くの「孤立」を生んでいます。
物に溢れ、一見豊かなように見える日本社会には、「孤独」と「孤立」が蔓延しているのです。
そんな、愛情に飢えた現代だからこそ、私たちは、思いやりや心の触れ合いを一番に考え、真剣に向き合うことで、「孤独」や「孤立」で苦しんでおられる皆様の力になりたいと考えています。
豊かな精神性を取り戻し、みんなが助けあい絆で結ばれる日本を目指して、その日まで精一杯お手伝いさせていただきたいと思います。