依存症
人は、不安や恐怖を感じた時、それを上回る何かしらの刺激を得ることで、不安や恐怖をなかったことにしようとすることがあります。それが慢性化した状態が、「依存症」です。アルコール、ギャンブル、セックス、恋愛、買い物等、依存の対象は様々です。
元来、人間は強い依存心を持った状態から人生がスタートします。最初の依存は、母親への依存です。成長するにつれ、依存の対象から徐々に離れ、自立していくことが望ましいのですが、実際は、依存の対象が変わるだけで、何かに依存し続けてしまう人が多くいます。
以前、「買い物依存症を何とかしたいが、一人ではどうすることもできない。助けて欲しい」というご依頼をいただきました。40代の主婦の方でした。買い物をしていないと不安になってしまい、このままでは駄目だとわかっていながらやめられず、大変お困りのご様子でした。「依存症」は一見、自分に甘く、だらしないことが原因とみなされ、軽視されがちです。ご依頼者様も、ご家族から白い目で見られながらも、どうしてもやめることができず、苦しんでおられました。
依存症のケアは、根本的には心のケアです。依存を引き起こす不安感の出どころを認め、存在を認識するところから解決への道はスタートします。
依存から逃れ、自立していくために必要なのは、「不安感から依存するのではなく、成長するための第一歩としてひとまず依存する」のだと自分自身が理解し、成長しようと努めることです。
そのためにも、「無気力」に関するコラムでご紹介した「マインドフルネス(瞑想)」は非常に有効な手段です。自分自身を正しく理解して受け入れ、今この瞬間を生きることができれば、こんなに素晴らしいことはありません。
先程ご紹介したご依頼者様も、ご自身の心とじっくり向き合うことで、徐々に、依存心と適切な距離感をとれるようになっていかれました。ご家族にも、思っていることや、心を見つめていく中でわかった内容をお話されたそうで、「以前よりも理解してもらえている気がする」と嬉しそうに話してくださいました。
今現在「依存症」で苦しんでおられる方は、どうかご自身を責めることなく、まずはその根本原因である「不安」と向き合っていただけたらと思います。その際、私たちにお手伝いできることがあれば、是非ともお気軽にご相談いただければと思います。